Top / 知ることから / 深呼吸と海馬
ライフスタイル深呼吸をしてすっきりした経験は、気のせいではありません。深呼吸が副交感神経を刺激してリラックス状態をつくることは、世界中の研究で確認されています。そしてその先で、記憶をつかさどる海馬が守られています。
公開・更新
2024.09.26 公開 / 2026.08.23 更新
私たちの体には、興奮状態とリラックス状態をつくり出す自律神経があります。副交感神経の活動が優位になると、人はリラックス状態になります。深呼吸を行うと副交感神経が刺激され、心が落ち着いた状態になります[※1]。
深呼吸は、自らを落ち着いた状態に導ける有効な手段です。脳のパフォーマンスを最大限に発揮するためにも、意識的に取り入れてみてください。
ストレスが増えると、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が過多となり、海馬の萎縮リスクが高まります[※2]。海馬は記憶をつかさどる部位で、認知機能の低下に先行して20・30代から萎縮が始まります[※3]。萎縮が進むと、認知機能の低下[※4]や認知症のリスクが高まります。
深呼吸はこのコルチゾールの分泌を抑制します[※5]。結果として海馬の萎縮リスクが下がり、脳を健康に保つことにつながります。
以下のステップを、1分間に4〜6回のペースで行います。
起床時や就寝前など、決まった時間帯に行います。特に就寝前の深呼吸は副交感神経を優位にし、体がリラックスすることで寝付きが良くなるとされています。
スマートフォンやスマートウォッチの通知を活用します。Apple Watchには深呼吸を促す機能、Fitbitにはストレス関連の反応を検知して通知するストレスマネジメント機能、ガーミンにはストレスレベルが高まったときに深呼吸を促す「リラックスリマインダー」機能があります。センサーが緊張状態を検知して通知してくれる仕組みは、無意識に溜まるストレスへの対処として有効です。
思うように仕事が進まないとき、ミスが続いたとき。焦りや緊張状態にあるとき、人は無意識に呼吸が浅くなります。一度立ち止まって深い呼吸をしてみてください。
瞑想は「今ここに」集中することを助け、頭の中で煩雑になった思考の塊をほぐします。瞑想と深呼吸を組み合わせると、ストレス解消とリラックスの効果をさらに高められるとされています。瞑想時に深呼吸を取り入れることで、心を落ち着け、集中力を向上させることができます。
海馬は20・30代から萎縮が始まる一方、「神経新生」(神経の生まれ変わり)が起きる部位です。神経新生によって萎縮を抑え、大きくすることもできます。つまり海馬の大きさは、脳の健康状態を映します。
海馬の神経新生は、ストレスが増えることで抑制されます。海馬測定MRI検査「BrainSuite」では、東北大学加齢医学研究所の研究成果にもとづくAI画像解析により、健康なうちからの海馬の大きさを計測し、同性・同年齢との比較レポートで確認できます。
※海馬の状態にはストレスのほか、運動習慣や睡眠・食事などの生活習慣が影響し、個人差があります。
Q. どのくらいの頻度で行えばよいですか
A. 決まった時間帯に毎日、加えてストレスを感じたときに。回数より継続が重要です。
Q. 1回どのくらい続けますか
A. 1分間に4〜6回のペースで数回繰り返すところから始めてください。
Q. 深呼吸だけでストレスは解消できますか
A. 深呼吸はコルチゾールの分泌を抑える手段の1つです。睡眠・運動・食事と組み合わせてください。
Q. 鼻から吸って口から吐く理由は
A. ゆっくりと深い呼吸になりやすく、副交感神経が優位になりやすいためです。
[※1] Magnon, V. et al. Scientific Reports 11,1 19267 (2021).
[※2] Chattarji, S. et al. Nature Neuroscience 18,10 (2015): 1364-75.
[※3] Raz, N. et al. Cerebral Cortex 15,11 (2005): 1676-89.
[※4] Kramer, J.H. et al. Neuropsychology 21,4 (2007): 412-8.
[※5] Perciavalle, V. et al. Neurological Sciences 38,3 (2017): 451-458.