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記憶・認知機能を知る

記憶とは?短期記憶・長期記憶・作業記憶の違いと海馬の役割

記憶とは何か。短期記憶・長期記憶・作業記憶(ワーキングメモリー)の違いと、それぞれに関わる脳の部位を整理。記憶の土台となる海馬を保つ生活習慣まで解説します。

公開・更新

2025.04.18 公開 / 2026.08.23 更新

脳の断面と、海馬の位置を示すイメージ

1. 記憶とは

記憶とは、ものごとを忘れずに覚えておくことです。記憶には短期記憶・長期記憶・作業記憶があり、脳の複数の部位が連携して働くことで成り立ちます。

記念日の思い出も、覚えたばかりの言葉をすぐ忘れてしまうことも、同じしくみの表と裏です。

2. 短期記憶と海馬

短期記憶は、情報を一時的に保持する記憶です。新しい情報はまず海馬に入ります。使われない情報は海馬が「忘れてよい」と判断し、消えていきます。海馬は、記憶が定着する前の一時保管庫であり、短期記憶を長期記憶へ変換する役割を担います。

3. 長期記憶と大脳皮質

長期記憶は、長期間保持される記憶です。海馬に入った情報のうち、よく使うものが大脳皮質へ移り、長期記憶になります。

小学校で習った九九を今も覚えているのは、繰り返し使って定着したから。試験前に詰め込んだ内容をすぐ忘れるのは、定着しなかったからです。

長期記憶は2種類に分かれます。

  • 陳述記憶(エピソード記憶・意味記憶):出来事や知識
  • 非陳述記憶(手続き記憶):技能や習慣

4. 作業記憶(ワーキングメモリー)

作業記憶は、覚えたことを別の形でアウトプットできる記憶です。電話で聞いた内容をそのまま繰り返すのではなく、「聞いて、書ける」状態を指します。作業記憶は短期記憶を土台にするため、ここでも海馬が要になります。

5. 記憶を支える生活習慣

海馬は記憶だけでなく、判断力や創造力といった高次認知機能にも関わります。高次認知機能は記憶を材料にするためです。つまり海馬が活性化すれば、判断力や創造力の維持・向上も期待できます。

海馬は生活習慣の影響が大きさの変化として現れる部位で、神経の生まれ変わりによって何歳からでも萎縮を抑えられます。

  • 運動:有酸素運動で脳血流が増え、BDNFやIGF-1などの神経栄養因子が分泌され、神経の生まれ変わりを促します[※1]。早歩きや階段でも構いません
  • 睡眠:睡眠不足はストレスを増やし、萎縮リスクを高めます。眠りを妨げる要因を取り除くことから
  • 食事:脳は1日の消費エネルギーの20%を使います。日本食や地中海食のように品目の多い食事で、三大栄養素に加えビタミン・ミネラル・食物繊維を
  • ストレス管理:コルチゾールの過剰分泌は萎縮リスクを高め、神経の生まれ変わりを抑えます[※2]。発散する機会を定期的に

6. 海馬の大きさを測る

海馬は認知機能の低下に先行して20・30代から萎縮が始まりますが、小指ほどの大きさのため従来は微細な変化を測れませんでした。東北大学加齢医学研究所の研究成果にもとづくAI検査「BrainSuite」では、海馬の体積、同性・同年齢との比較、経年変化シミュレーションをレポートで確認できます。

7. よくある質問

Q. 短期記憶と作業記憶の違いは

A. 短期記憶は一時的に保つ力、作業記憶は保ちながら別の形で使う力です。

Q. 記憶力は年齢とともに落ちますか

A. 海馬の萎縮は20・30代から始まりますが、生活習慣で抑えられます。

Q. 覚えたことを定着させるには

A. 繰り返し使うことと、十分な睡眠です。

参考文献

[※1] Erickson, K. I. et al. Proceedings of the National Academy of Sciences 108,7 (2011): 3017-22.

[※2] Chattarji, S. et al. Nature Neuroscience 18,10 (2015): 1364-75.

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