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記憶・認知機能を知る認知症リスクの4割強は後天的要因で、生活習慣の改善で下げられます。海馬の萎縮とアミロイドβの関係を押さえたうえで、今日から始められる予防行動10選を解説します。
公開・更新
2024.04.22 公開 / 2026.08.23 更新
認知症は神経変性疾患の一種で、脳の神経細胞の働きが低下し、記憶力や集中力に影響が出ます。主な種類は4つ[※1,2]。
認知症リスク因子の4割以上を占める後天的リスク因子は、運動・食事・睡眠・交流といった生活習慣の改善で減らせることがわかっています[※3]。特に全体の75〜90%を占めるアルツハイマー型と脳血管性は、生活習慣との関連が大きいと考えられています。
2023年に発売された「レケンビ」(レカネマブ)は、蓄積したアミロイドβを除去し進行を抑制します。ただし抑制効果は27%で、根本治療ではありません[※6]。認知症患者は2025年に約471.6万人、2060年には約645万人と推計される一方、対象候補者は約3.2万人にとどまります[※7]。だからこそ、健康なうちからの予防行動が重要になります。
不健康な生活習慣は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病に加え、海馬の萎縮要因にもなります。海馬は認知機能の低下に先行して20・30代から萎縮が始まります[※4]。一方で神経の生まれ変わりが起こる部位でもあり、何歳からでも萎縮を抑えられます。
脳内のアミロイドβは通常は分解・排出されますが、睡眠不足や運動不足が続くと蓄積します。蓄積するとタウタンパクがリン酸化して溜まり、神経細胞が死滅。海馬の萎縮が進み、アルツハイマー型のリスクが高まります。この蓄積は発症の20年ほど前から始まります[※5]。
海馬は生活習慣の良し悪しを敏感に反映し、増大や萎縮として変化が表れます。萎縮の進行は、脳全体に占める海馬の割合「海馬占有率」を同性・同年代と比較することで確認できます。
海馬は小指ほどの大きさのため、通常のMRIと目視だけでは微細な萎縮の判別が難しく、一般的な脳ドックでわかるのは疾患の有無でした。東北大学加齢医学研究所のAI画像解析技術にもとづく「BrainSuite」では、海馬の体積を測定し、同性・同年代と比較した傾向を確認できます。半年ほどの生活習慣の改善で変化が生じたという研究報告もあり、年1回の受診で経年変化を追えます。
Q. 何歳から対策すべきですか
A. 海馬の萎縮は20・30代から、アミロイドβの蓄積は発症の20年前から始まります。早いほど有利です。
Q. 10個すべてやる必要がありますか
A. ありません。続けられるものから始めるほうが効果的です。
Q. 家族に認知症がいると避けられませんか
A. 遺伝的要因はありますが、リスク因子の4割強は生活習慣で下げられます。
[※1] Ikejima, C. et al. Psychogeriatrics 12,2 (2012): 120-3.
[※2] Ohara, T. et al. Neurology 88,20 (2017): 1925-32.
[※3] Livingston, G. et al. The Lancet 396,10248 (2020): 413-46.
[※4] Raz, N. et al. Cerebral Cortex 15,11 (2005): 1676-89.
[※5] Jack, C. R. Jr. et al. The Lancet Neurology 9,1 (2010): 119-28.
[※6] van Dyck, C. H. et al. New England Journal of Medicine 388,1 (2023): 9-21.
[※7] 厚生労働省「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」(研究代表者 二宮利治、2024年5月)/中央社会保険医療協議会 総会(2023年12月13日)レケンビ薬価算定資料(ピーク時投与患者数 約3.2万人)
[※8] Erickson, K. I. et al. Proceedings of the National Academy of Sciences 108,7 (2011): 3017-22.
[※9] Chattarji, S. et al. Nature Neuroscience 18,10 (2015): 1364-75.
[※10] Taki, Y. et al. Human Brain Mapping 34,12 (2013): 3347-53.
[※11] Ohara, T. et al. Journal of the American Geriatrics Society 63,11 (2015): 2332-9.