目次
●脳のMRI検査とは
●脳のMRI検査の注意点
●MRI装置の選び方
●MRIで撮像できる画像の形式
記事公開日:2024年11月29日
最終更新日:2024年11月29日
MRI検査は、正式には「磁気共鳴画像法検査」と言い、主に磁力を活用して撮影を行います。
放射線を使用しないため、安全性が高い検査であると言えます。
主に、脳を含む頭部、脊髄・脊椎、四肢の骨・関節、腹腔内臓器(肝・胆・膵)、骨盤内臓器(子宮・卵巣・前立腺)などの検査で利用されています。
最近では、全身のがんリスクを一度に調べるMRI検査「DWIBS」を受診する方も増えています。
脳のMRI検査では、脳の構造や組織の状態を高い解像度で確認することができます。
特に、脳梗塞や脳腫瘍など、細かな構造変化を捉えることができます。
オプションを付けることで、症状が出る前の、健康なうちからの海馬の萎縮度合いをAIで測ることもできます。
※参考サイト:
記憶をつかさどる「海馬」の大きさをMRIとAIで測る脳検査「BrainSuite」(ブレインスイート)
病院やクリニックで受診することができる「脳ドック」では、頭部MRI・MRA等を用いて、脳に関係する疾患の診断や、疾患リスクの早期発見等を行うことができます。
脳のMRA検査では、MRI検査により出力される画像データから、血管を描出します。
つまり、MRA検査はMRI検査の一部と言えます。脳血管全体を描出することができるため、幅広い脳血管障害を発見することが可能です。
※参考記事:
脳ドックとは?受けた方がいいケース、検査内容と選び方を解説
脳ドックの費用は?助成金やふるさと納税の活用方法も含めて解説
脳ドックで分かること:あなたの健康を守るための「脳の健康診断」
MRI検査は強力な磁力を用いるため、下記の項目に該当する方は受診できない場合があります。
・心臓ペースメーカー、除細動器、剌激電極などが埋め込まれている方
・脳動脈瘤クリップや人工関節など、金属が体内に埋め込まれている方
・妊娠している方、又は妊娠している可能性がある方
・化粧品・カラーコンタクト・まつげエクステ・ネイルアート・白髪染めスプレー・増毛パウダー・剌青・アートメイクのある方
・閉所恐怖症の方
・実際に検査を受けられる病院やクリニックが定める禁忌事項に該当する方
※服用中の薬がある方はかかりつけ医にご相談いただき、指示に従ってください。
上記以外にも、来院される病院・クリニックによって指示がある場合には、その指示に従って受診いただく必要があります。
「MRI検査」というと、検査中の音を心配される方も多いかと思いますが、最新のMRI装置では、音が従来より小さいものが多く出てきています。
最新のMRI装置では、より高い解像度で撮像を行うことができるものもあり、より精緻な検査結果を得られることもあります。
最新のMRIを導入している病院・クリニックでは、MRI装置について施設のWebサイト等で公表していることも多く、受診する施設を探す際には、以下のポイントを参考にしてみると良いでしょう。
MRI装置の磁場強度は、T(テスラ)という単位で確認することができます。
病院・クリニックでは、1.5T以上の施設が多く、3T以上になると、主に大学病院や総合病院で導入されます。
高い磁場強度であるほど、より高い解像度での撮像が可能となる他、MRI検査時間を短縮できることもあります。
その一方で、高い磁場強度であるほど、検査時に発生する熱も強くなり、体がより熱くなりやすい、という傾向もあります。
オープン型のMRI装置は、通常のMRI装置と比べて閉塞感が少なく、閉所恐怖症の方にとっても受けやすい仕様となっています。
ただし、オープン型MRIは、画像の解像度(詳細さ)が低くなってしまうというデメリットもあります。
また、検査中に映像や音楽の鑑賞が可能な機能を備えたMRI装置もあり、リラックスしてMRI検査を受けることができます。
MRIで撮像できる画像には複数の形式があり、検査の目的などによって使い分けられます。
T1強調画像では、身体の解剖学的な構造が見やすく、液体が低信号のため黒く表される点に特徴があります。
T2強調画像では、炎症や梗塞など多くの病巣が高信号に見えるため、病変の抽出には欠かせません。
液体が高信号のため白く表される点に特徴があります。
「FLAIR」は「Fluid Attenuated Inversion Recovery」の略です。FLAIR画像は、T2強調画像の正常な水(頭蓋内においては脳脊髄液)を、低信号で黒く表した画像です。
脳室周囲の病巣や、壊死・脱落(髄液への置換)を伴う病巣を判断していく時に、有用です。
脳の病気は自覚症状が出にくいからこそ、脳ドックで異常がないか、定期的に確認することが重要です。
早期に病気やその前兆を発見することで、必要な対応や、早期予防行動をとることができる可能性が高まります。